2013-01-01から1年間の記事一覧
例えば、ADHDでは部分強化の効果が弱いという知見がある。それが正しいのであれば、ADHDの人間が学習するためには、部分強化ではなく連続強化が必要ということになる。しかし「報酬を確実に得る」こと自体が困難なので、連続強化が常に実現できるわけではな…
「遠くの利益」が単独で提示されるなら、それを選択するのは容易なのだが。しばしばそれは多少の労力を伴うし、それ以上に、目の前の報酬獲得をいくらか先送りしなければならないのがネックである。 例えば「宿題をやるか、ゲームをやるか」。
何か好ましいものを手に入れる行動が習慣化するのは容易に理解できる。だが明確な報酬を伴わない「義務の遂行」はどのようにして習慣化されるのか? 「義務を遂行しないと罰が与えられる」という状況なら分からなくもないが、必ずしも罰を伴うわけではない。
オペラント条件付けは、「手がかり刺激→行動→報酬」という流れだが、習慣化に必要なのは、「手がかり刺激→行動」の流れを円滑にすることだと思う。
例えば「空いたペットボトルをすぐ捨てる」という行動がどのように習慣化されるか。いきなり0から1に飛躍するのではなく、まず「ボトルの中をすすぐ」ところまでできるようになり、その後空いたボトルをその場で完全に処理できるようになるのだと思う。
どれだけやれば目的達成できるか分からない状況で「やれるだけのことをやる」という選択は割とオーソドックスだが、それを実行するにはいくつかの条件が必要となる。まず、目的の達成がそこまで容易ではないという認識は必要だろう。また、目的達成までの道…
例えば、何らかの行動・戦略を遂行している時に、別のものに切り換えるには、その行動・戦略だけでは不十分だという認識が必要である。また、何か手に入らないものに執着している時、そこから離れるためには別のもので代替することが重要である。 上記の「不…
単純な、未来の大報酬と、即時の小報酬を選択させる課題でも、「待てば後で大きな報酬が得られる」ことが十分学習されていなければ、前者を選択することはまずないだろう。(人間なら推論でそれをやることも不可能ではないが)
ADHDがドーパミン系の機能不全によるという話はよく聞くし、DAT阻害薬で症状が改善することもある。意図する行動の遂行が困難な場合に、別の報酬を設定し、DAレベルを高めることで、行動を惹起するのに不十分なcueの効果を強めることも可能であろう。ただそ…
例えば、一週間後までの宿題が出たとする。計画性のある人間は早めに片付けるだろうし、計画性のない人間は直前にやることになる。早めに片付けるために必要なものは先見性と言えるかもしれないが、他にも必要な要素はある。 宿題を先送りする人間の言い訳と…
例えば、「文房具を使った後で、元の場所に戻す」。必要なのは「後で使う時に元の場所に戻さないと不便」という考えで、それには「次の状況」の想起と、それと現在の行動の関連の意識が不可欠である。
例えば、映画監督が言う「雲の形が気に入らないから撮り直し」みたいな。それが最終的な成果物に与える影響は小さいわけだが、ついつい拘ってしまう場合がある。
「保留にしておく」ことである程度満足してしまうのは、二次強化によるものと解釈できるかもしれない。つまり、「取っておく→後でそれを消化する」という流れが学習されていれば、前段階だけで多少は満足できるという。
生物の行動は報酬によって駆動される場合が多いが、そうでない場合もある。いわゆる「義務感」はどのようにして生じるか? 行動を起こさないと罰が与えられる、もしくは行動を起こさないと好ましい何かが失われる、という状況で、負の結果を避けるために行動…
例えば、何らかの制度に問題があったとして、合理主義者はそれを非難しがちだが、制度設計者の立場に回ってそれがやむを得ないものであることを理解すれば、同様の制度の欠陥に目を潰れるようになる。合理主義者は、基本的に不合理を飲み込めないが、裏に合…
上記はどれも似たようなものではないかと。「新奇探索」が時間選好性と近いというのは、「直前に思いついた何か面白そうなこと」の価値を最大限に大きく評価する傾向と捉えられなくもないので。ああでも時間の方向性が逆か。
嫌なことに耐えるという判断は、それによって大きな報酬が得られるという予測に根差している。そういった判断を下すためには以下の要素が必要である1.それによって大きな報酬が得られるという読み2.時間割引が一定以下3.他に楽な選択肢がないという認識…
基本的にハングリーな環境で育った方がコミュニケーションは積極的だと思うが、育ちがいい人間の方が物怖じしない面もある。「物怖じしない」とはどういうことか? 危機に晒されないことで、セロトニン系が常時賦活されるのだろうか。
一般化してしまった方がいちいち検討せずに済んで楽だから、というのはあると思うけど。ただ、個別に対応している時に一般化を望む心理は、必ずしも「面倒くさい」というものだけではないと思う。
マキシマイザーの行動理念は、「最終的な獲得報酬を大きくする」という理解が可能だが、「力の誇示」にも拘るのは何故か?それが他者からの評価(称賛)の獲得を目指すのであれば、度を超えて力を誇示することは必ずしも正解ではないのではないか。
分節化の細かさは人によって違う、という話は以前も書いた。おそらく「規範」意識の強さも、それを反映していると思う。分節化が粗い人間ほど、数少ない規範を順守する傾向が強くなると思う。(規範の数が少ないし、順守の程度が強い)逆に分節化が細かい人…
例えば、「自分がモテないのは社会が悪い」とか。「モテる」ことが努力によって達成不可能なら諦めるしかないが、それを何か大きなものに帰結させる理由は何か?「他の友人にはできるが自分にはできない」となると、諦めをつけるのが難しいので、「大きなも…
実行の確実性という意味では、目標は低いほどいい。最終的に大きな目標を目指すにしても、それを分割して小さい目標の集合として捉えるべきである。しかし人間はしばしばそれをせず、大きな目標ばかりを狙ってしまう。 動機の面でそれが有利なのだろうか?確…
逆境でも生き残る人間が万全の状況で失敗することもあるかもしれないが、与えられた状況に対しいかに上手く振る舞うかという能力は、ある程度定量化できるものだと思う。基本的にその能力は、自分で試行錯誤する能力にかかっていて、試行錯誤できれば逆境で…
全く他人の意見を聞かない人間は「自己中心的」と言うしかないが、他人の意見を尊重する人間が「利他的」であるのかというと、必ずしもそうではないだろう。責任転嫁が目的の時もあるし、他人の思考がトレースしづらいからかもしれないし、他人の言動に触発…
探索しても新規な情報が得られなくなれば、探索をやめるのが普通だろう。ただ、新規な情報が完全にゼロになることは稀で、通常はゼロにならなくてもどこかで探索を打ち切ることになる。その閾値はどのようにして決まるか?
すぐに処理できるものでも、ついつい先送りしてしまうことがある。大抵の場合、他にやっていることがあって、そこで不意に「やるべきこと」が浮かぶのだが、現在やってる作業を持続するために、新たな「やるべきこと」を先送りすることになる。この時、何の…
何か失敗した時に、「被害」の範囲を限定することは精神の安定のために重要である。 ただ対人関係においては、相手の不快感の見積もりが難しい上、基本的にその人間との関係を持続することを前提に考えてしまうので、「失敗したけど大丈夫」という感覚はなか…
何か好ましいものを手に入れたとしても、それに飽きてしまうかもしれないし、それが近くにあるこでそれに気を取られてしまうかもしれない。そういうことを考えると、何がアドバンテージなるかは自明ではない。 能力の向上は、基本的に不利にはならないだろう…
刹那的に快楽に興じることを否定するのは容易い。快楽を得る対象を次々に変えることは、明らかにストレスをもたらすからである。 快楽を得る対象と快楽の強度を調節し、日々を楽しく過ごすことはできるだろう。古代ギリシアのエピクロス派もそんな感じだった…