恩を売るとはどういうことか

「恩を売る」とは具体的にどのような戦略か?

契約を伴わず、金銭・物品に換算できない「行為」にも金銭と同様な貸借関係が生じる、と捉えれば単純ではあるのだが。


人間が他人に「恩を売る」のは、相手が貸借関係として認識することを期待しているのではなく、「相手の役に立つ」ことで自分の存在を「相手の目的達成のための手段」として位置づけ、自分への接近頻度を高めるという戦略なのではないか?

この場合の「接近頻度」は必ずしも実際に接近する回数でなくてもよく、例えば同じ組織に所属するとか連絡先を教え合うといった「接近」でもよい。

また心理学的に「目的達成のための手段」は目的が報酬価値を持つ場合、手段に対しても報酬価値が付与されるため、自分の存在そのものが相手にとって「好ましいもの」になっていくとも捉えられる。


「報酬価値を付与された手段」が物や行為の場合、その物を近くに置くとかその行為を頻繁に行うだけの話だが、その手段が人間の場合には、「相手の言うことを聞く」「相手の機嫌を取る」といった行動に発展しうる。

ゆえに貸借関係として捉えなくても、必然的に「恩を返す」ことになるのである。


注意点があるとすれば、例えば「義理」の発想もなく、上記のような学習も覚束ない相手には恩を売っても無駄、ということか。