目的の分割と統合

人間に内在する欲求はある程度抽象的(多くの事物によって充足可能)だが、さらに抽象的な目的が形成される場合もあるし、より細かい目的に分割されることもある。

これらはどのような機構によって起こるか?


まず「抽象的な目的」と「具体的な目的」について明確に定義する必要がある。

充足する欲求に着目すると、多くの欲求含む目的を「抽象的」と表現することもできるし「具体的(一つのエピソードに多様な経験が含まれうるという意味で)」と表現することもできるが、ここでは前者の定義を用いる。





単一の行動によって多くの欲求を充足できる場合、その行動は強く強化される。

実際に多くの欲求を満たす経験をしていなかった場合でも、他者からの情報によってそのような行動の存在が伝達された場合、





例えば「アイドルになる」という夢があったとする。

「アイドルになる」というのは原初的な目的ではなく、「金を得る」や「注目を浴びる」といった欲求に基づいているものとする。

元の欲求と別個の形で新たな目的が形成されるのは、それが個々の欲求よりも範囲が広く、報酬価値が強いからである。


逆に「注目を浴びる」という欲求を限定(条件付加)することで、さらに具体的な「ダンス教室で目立つ」という目的も成立しうる。

「注目を浴びる」という欲求しか充足できず、また「ダンス教室で」という限定条件がつくため、欲求の充足程度は弱い。

しかし、「ダンスの練習に励む」という実行可能な行動でその目的が達成できるなら、小さい目的に分割する意味は出てくる。