行動の相対的評価

事物の価値だけでなく、自身の行動の価値も相対的である。

それは他の行動との比較によって価値が決まるという以外に、直近に想起された行動との比較が特に重要になるという時間的な要素もある。


例えば非常に面倒な作業の締め切り前になると、他のやや面倒な作業(掃除等)が捗るという現象がある。

こういった現象は「相対化」だけでは説明しづらい。

締め切り前であろうがなかろうが、掃除の手間と利点は変わらないし、面倒な作業の締め切りが意識されることで掃除がプラスに評価されたとしても、他の作業も同じように正の補正を受けるはずである。


一つの解釈は「手間」と「便益」が別個に評価される、というもので、「面倒な作業」の想起によって掃除の「手間」は小さく見積もられるが、「便益」は変わらない(それ以外の「部屋でのんびりする」などの行動より大きい)ので選択されやすくなるというもの。


その場合、「手間」の補正はどのようにして行われるのかという疑問が出てくる。

「非常に面倒な作業」の想起によるのは間違いないが、その作業をやる必要がなければその作業を「標準」として考える理由もないわけだ。