目標の抽象化について

概して欲求の対象は、最初は実際の経験に基づいて具体的なものであるが、その後何らかの要因によって抽象的なものへと変わる。

例えば異性への欲求が最初は個別の人物に対してで、その後異性一般へと向くように。


抽象化されるきっかけは、共通する属性を持った複数の対象を知ることかもしれないし、当初の欲求の対象が手に入らなくなるからかもしれない。

「手に入らない」場合に、「欲しいものは本当にそれ(具体的なもの)だけなのか?」と問い直すことで、抽象化がなされる場合がある。

当初の段階では具体的な対象に報酬価値が割り当てられているわけだが、現実の存在する事物という意味では「単一」の対象なわけだけど、抽象的な要素のレベルでは「雑多」である。

具体的な対象がもつ様々な要素に均等に価値を割り当てるために、「その対象が特別」になるし、「共通する要素を持つ別の対象への興味の移行」は起こりにくい。

ゆえに「抽象化」の過程では、均等に価値を割り当てた要素を縮減する必要がある。