リードの研究について

〈リードらの研究〉

被験者に二種類のクーポンを選択させる。

一つは「高尚な」映画のレンタルができるクーポンで、もう一つは「低俗な」映画がレンタルできるクーポン。

映画を明日見る場合には高尚な映画を選ぶ被験者が多いが、今日見る場合には低俗な映画を選ぶ被験者が多い。


…さもありなんという結果なんだけど、なぜそうなるのかなと。


両者の条件の違いは、時間の違いと言えばそれまでなんだが、「即座に実行が想起されるか否か」という観点で区別することもできると思う。

「即座に実行される」場合、思考はすぐに「映画を楽しむ」ことで占有される。

一方、「実行が先送りされる」場合はどうか?

この場合、映画は「すぐに楽しむもの」ではなく、…


…いや、結局は多様性バイアスと似たようなものなのかも?

「すぐに楽しむ」場合には、その時点で喚起された欲求に根ざして選択がなされる。

「明日楽しむ」場合には、明日の欲求を「推測」して選択することになる。

ただこの「推測」には往々にしてバイアスがかかる。


「明日は高尚な映画を見たがるだろう」と予測する理由は何か?

おそらく、この推測は直感的なもので、必ずしも「明日の心境」を精密に再現しようとした結果ではない。


「高尚な映画」は「好ましい抽象的な概念を伴う映画」で、これは「明確な欲求が喚起されていない状態」でも魅力的に感じられるものなのだと思う。

「低俗な映画」は攻撃性や性欲など、特定の欲求が喚起されると高い確率で選択されるが、「明日の映画」を選択する際にはそういった欲求は意図的に排除される。

なぜなら、もしその時点で攻撃性や性欲が喚起されると、すぐに処理できない(映画を見るのは明日なので)ため、欲求不満を抱えることになるからだ。

たぶんそれを本能的に避けようとするために、「高尚な」映画を選ぶバイアスが生じてしまうのだろう。