一般化の一側面

例えば、ある作家の作品をいくつか読んで面白かったとすると、次第にその作家の作品全てに目を通したがるようになる。

数回の試行(いくつかの作品を読む)から、面白い作品を見つけるコツとしてその作家の作品をチェックすればいいと気づいた、とも解釈できるし、作品という表層物から作家の個性(文体、題材選びのセンス等)に関心が移ったという解釈もできる。

(「網羅性」「完全性」の報酬性についてはここでは触れない)


ただ本質はむしろ、「報酬物の一要素への執着(あるいは依存)」なのではないかと。

事物全体の報酬価値が構成要素に転移した、ということなのかもしれない。


その場合、一時的に構成要素(例えば作家名、特定の文体等)自体が報酬価値を持つが、それが真の報酬(抽象的な表現だが、何らかのsensualな刺激が必要なのだと思う。別に小説でも構わないのだが、内容が読者に強く訴えるものであるべき)に結び付かないことが分かると、次第に報酬として機能しなくなる。